ヤマジカズヒデ、石橋 英子、須藤俊明からなるYESEYSESYの1stア ルバムリリース決定!
dipでの活動を中心に据えながら、様々なアーティストと共演するギタリスト、ヤマジカズヒデ。グローバルな音楽家として活動するかたわら、 『ドライブ・マイ・カー』などの映画音楽やJ-POPまで幅広く手掛ける石橋英子。ハードコアからネオアコ、アンダーグラウンドからプログレまで成り行きにまかせて活動する須藤俊明。そんな3人が始動させたバンドYESEYSESYのファースト・アルバム『consequences』が5月25日にリリース決定!
アルバムより先行シングル『REOA』も5月11日に配信リリースします。
あわせてアルバムリリースを記念した待望のLIVEも2箇所で開催決定! 昨年から連続リリースしてきたシングル曲を予習の上、3人の奏でる生音を浴びていただきたい!
【LIVE情報】
5/13(金) 甲府桜座
w/GOFISH
18:30 open 19:00 start adv 3,500
door 4,000 (Drink別)
問い合わせ先:甲府桜座 tel 055-233-2031
https://www.sakuraza.jp/
カイドロップ高野:kaidrop4@gmail.com
5/15(日) 渋谷7thFLOOR ワンマン公演
18:30 open 19:30 start adv 3,500
door 4,000 (Drink別)
tiget : https://tiget.net/events/179216
問い合わせ先:shibuya 7thFLOOR tel 03-3462-4466
「音楽のアナグラム」
YESEYSESYは、石橋英子、須藤俊明がヤマジカズヒデのソロアルバム制作に参加したの をきっかけに自然発生した新バンドだ。オルタナティブ・ロック、プログレッシブ・ロック、フォーク、ファンク、ポストロック、フィルム・ミュージック……。それぞれのメンバーが自家薬籠中の物としてきた様々な要素が折り重なり溶け合うが、しかしそこには、名を成した音楽家同士の合奏によくある「個性のぶつかりあい」といった激しい様相とは違った、豊かで奥深い何かがある。それは、元々YESEYSESYが目的もなしにただ「純粋に音楽をすることを」を楽しむために集い、思い思いの音を奏でようと始まったバンドであることによる何かだろう。
バンド名の由来は、各メンバーの名前の頭文字をアナグラムしたものだ。これは単なる言葉遊びというより、バンドの創作法の核心を表象するものでもあるようだ。本作は、作曲クレジットに個人名でなくYESEYSESY名義を冠している曲が大勢を占めているが、これらにおいては通常の意味での「共作」的な手法があえて避けられた。つまり皆が寄り集まってメロディーなりフレーズを紡ぎ出すのではなく、一人のメンバーがあるパートを作り、それに対して別のメンバーが新たなパートを継ぎ足す、といったふうに制作されたのだという。言葉に表せばシンプルな方法論のように感じられるかもしれないが、実際バンドとして屋号を掲げつつこのような作り方を大掛かりに実践する集団は相当に稀だろうし、いざ試そうとしても、その実相当鋭敏な音楽的感度が必要になるのがすぐに分かるだろう。まさに、互いの音楽的蓄積や志向を絶妙な間合いで把握しているからこそ実現し得た手法といえる。
一方で、互いの音楽語法を把握しすぎていない=全ての面で同じ志向性を共有しているわけではなというのも、本作に吹き抜ける爽快な風通しにとって重要な点だったろう。アルバム・タイトルが象徴するように「consequences」=成り行き任せを実際に引き受けられてしまう度量/余裕のようなものが、結果的に音楽内容にそのまま反映されているふうなのだ。このあたりの堂に入った飄然ぶりは、各人の切り拓いてきたフィールドの広大さ、先駆性をかえって浮かび上がらせてくれる。いわゆるレイドバックした音楽かといえば決してそうではなく、むしろ厳しさを同時に湛えたものでもあるというのも、他に得難い魅力だろう。ヤマジカズヒデのギター、石橋英子のピアノ/ドラム、須藤俊明のベース。そのアンサンブルは、決して「気のおけない仲間たちのセッション」の域にとどまるもので なく、きわめてスリリングで、時に鋭い。須藤自身によるミキシングも、そうした特性を十二分に引き出す優れたものだ。
また、リリース元のレーベルにも注目したい。UMINECO RECORDSは、彼らの盟友でバンドuminecosoundsのフルサトオサムが2021年に立ち上げたレーベルだ。フルサトは、音楽活動と並行して東京・幡ヶ谷でカレー店「ウミネコカレー」を営んでいる。同店には彼ゆかりのミュージシャンも多く訪れ、小さいながらも風通しの良いコミュニティーを形成している。そこで交わされる音楽やミュージシャンたちの生活についての会話が、 音楽レーベルを立ち上げさせるきっかけとなったという。なにか特定の商業的目的に急き 立てられた音楽表現ではなく、あくまで生活の側面として存在し、「音楽を奏でながら生きていくこと」へ自然に寄り添うレコード制作/リリースのあり方を、自身もカレー店を営みながら音楽を続けるフルサトが模索する。それ自体がひとつのミュージッキングであり、本来のオルタナティブやDIYを賦活する実践的行為だといえる。そうした意味でも、UMINECO RECORDSの旗揚げにYESEYSESYが参加し、こうしてデビュー・アルバム 『consequences』が届けられるというのは、オルタナティブ・ミュージックを敬愛する全てのリスナーにとって喜ばしいことだ。(柴崎祐二)